ケーブルの特性計測
官能評価以外で使える手法は無いか
- 再現性のある解析手法は？
- できれば簡易な方法で
手持ちで利用できる手法と知見
- 音響解析ソフトARTAを使えばPCで信号解析は出来る
- 当初はコンデンサーマイクを使って騒音測定を行っている中で、ケーブルによる違いが見つかった
コンデンサーマイクでの測定には限界が・・
- コンデンサーマイクでは騒音側を一定に出来ない
- 高インピーダンス負荷と言う観点でマイクを抵抗に置き換えてみたが、うまく差を検出出来ない
- ケーブルをセンサーと考えているので、良いセンサーアンプが必要だが現実的ではない
PCを利用した計測が上手く出来れば、追試が可能となる
- ARTAのドキュメントの中にサンドカードの特性計測がある
- サウンドカードから出した信号をサウンドカードに戻し、その周波数特性を解析できる
- 出と入りが完全に一致すれば、同じ波形特性が得られるが、途中に外乱があれば差を抽出できる
- 多数回データを取り込み、その平均データが利用できる
- ケーブル違いで有意差のある数値が得られれば簡単だが、単純に取替えで測定データに差がでる可能性は低い
何を測定しようとしているか？
- 測定しようとしているのはケーブルによる変化だが・・・ この場合、ケーブルをセンサーとして外乱ノイズ評価することになる
- しかし、単純に伝達される信号に変化が出るほど環境ノイズによる影響は大きくは無いはず
- → だから、センサーの感度を下げるほど差が見えなくなってくる（コンデンサーマイクを抵抗に置換した場合）
- コンデンサーマイクの場合は、ケーブルに伝わる外乱を増幅していた可能性あり
- 外乱がケーブルの信号伝達に影響を与えるとすれば、その外乱をうまく増幅出来たら差が見られるか？
- コンデンサーマイクでなくとも良いが、ケーブルに伝わる振動変化を上手くセンシングする方法は無いか
- 測定対象の信号レベルを上げるか、測定系のノイズフロアーを下げてS/Nを稼がないと測定対象が見えてこない
- 外乱ならば、ケーブルをスピーカーに接触させて外乱信号強度を上昇させるか？
レコードの場合、カートリッジからフォノイコライザーまでのケーブルやイヤフォンのケーブルではタッチノイズを十分に聞き取れる この方向で信号増幅をすれば計測できるか？
誤差増幅が出来ないなら、外乱/ノイズ強度を上げるか
- 手元にあり、再現性の高そうなノイズ源は？
- これまでのケーブル製作では、マスダンプによるS/Nの改善があるのではと推定して来た
- 振動源なら・・・ 手元にハンディマッサージャーがある。これを試してみるか
→計測手法と再現性/妥当性検討
今回、この測定方法では、振動の影響を明確に見出すことは出来なかった
誘導ノイズが支配的であると思われる
R/Lチャンネルを使った測定
→計測手法と再現性/妥当性検討
細かく見てゆくと、サンドカード自体で左右でノイズフロアーに多少の差があるようだ現用機の場合、RMSでR側が0.1dB程度低い数字が出る（ノイズ源均質性の問題もあり）
この下にある計測は左右ゲイン差？？ ノイズフロアーの差なら問題は無いか？ ゲイン差があるとしても、補正は出来ていない
リファレンスはL側 比較対象はR側なので、そのままでも0.1dB程度のノイズ低下が観測できる可能性あり
最大の課題は、この測定結果と聴感上の好み（優劣）との相関が不明確
注）以下に、リファレンスとした赤黒ケーブルとの差を載せたが、この数値がケーブルの優劣を表すものではない
外乱に対する影響度合いの評価なので、シールドしないタイプ（キンバーPBJなど）は影響が大きいと思われる
| 赤黒 vs オーディオテクニカ Ceramics | 赤黒 vs LINN Silver |
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| Linn Silverは切り売りにLinnの黒プラグを取り付けた自作 |
| 赤黒 vs Canare L4E6S 4本 | 赤黒 vs 綿巻き撚り線 |
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| 100〜200Hzにかけてのノイズ強度増加は、ノイズ源の不均一性による可能性あり Canareの改造ケーブルは太く、リファレンスと被検体の同一性保証が難しい |
ノンシールドケーブルでの実験 意外なデータが出た さほど悪化しない むしろ向上 ケーブルを撚った効果か？ |
| 赤黒 vs Belden9535 | 赤黒 vs Belden9535 組紐 |
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| 赤黒のケーブルをリファレンスとして、Belden9535との差分を評価 | 赤黒のケーブルをリファレンスとして、Belden9535 組紐被覆との差分を評価 | Belden9535 組紐有り無し |
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| やはりノイズ源の空間強度分布はある 注意深くセットが出来れば、リファレンスと被検体ケーブルの場所を入れ替えた方が測定精度は高い この測定は、ノイズ源にマーキングをし、なるべく同じ位置で測定できるようにし、組紐の有り無しを比較 差分データでは 0.5dB程の取り分が出ているが、効果を過大評価か？ |
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| 赤黒 vs Belden9541x3（その1） | 赤黒 vs Belden9541x3（その2） |
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| 比較的測定バラツキも少なく、特に低域側に再現性は高い 測定は上手く出来ているのではないか？ 低域と比べると、ｋHzオーダーから上のところは再現性が低い |
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| 赤黒 vs Belden9541x3 平編み銅線被せ |
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| 傾向に差なし ケーブルの特性は再現性良く測定できている 平編み銅線被覆は高域にばらつきが出る/もしくは高域にノイズが乗るか？ |
| Belden9541x3 vs Belden9541x3 平編み銅線 ルーズ/タイト | |
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| 平編み銅線をタイトに被せた場合 平編み銅線の有り無し比較をすると、平編み銅線を被せることで低域のノイズは若干抑えられるか？誤差範囲か？ 一方で、高域にばらつきが出る |
平編み銅線とルーズに被せた場合 平編み銅線をルーズに被せることでタイトに被せた場合と比べて、高域のノイズ成分は抑えられる方向 |
| 赤黒 vs Belden9546 |
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狙い通りではあるが・・ 面白いものである |
改造ケーブルが物理特性に影響を与えているかを、ベースとの相対比較（ベースに対して構造を変えた場合の変化）で捕らえられる可能性あり
まとめ
- ケーブルに外からノイズを加えることで、ケーブルのノイズ耐性を測定することが出来た
- 計測系の再現性は高く、有意なデータを取得できる可能性は高い
- ノイズ源の均質性は課題：空間的・周波数領域の両面で更なる改善の余地あり
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